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俺の妹がこんなに可愛いわけがないSS 或る結末の続き0.1 第2話


この物語はフィクションであり登場する人物・団体・その他名称とは一切関係ありません。PSP版『俺の妹がこんなに可愛いわけがないポータブル・加奈子編』の後日談に相当する二次創作小説です。は?加奈子編?そんなのあったっけ?








あたしの名前は、高坂桐乃。私立中学に通う十五歳。自分でいうのもなんだが、眉目秀麗、才色兼備、文武両道のスーパー女子中学生である。所属している部活は陸上部で、成績も良い。仕事は今は休業中だが売れっ子読モをしているし、二冊ほど小説も出した女子中学生作家でもある。そんなあたしの趣味は、まぁ、これは別の意味で自分でいうのもなんなのだが、結構変わっている。特筆すべきものがある。そう、あたしは。

あたしはエロゲーが大好きだ。
あたしは妹が大好きだ。
素直な妹が好きだ。
かしましい妹が好きだ。
ミステリアスな妹が好きだ。
ドジっ娘な妹が好きだ。
お姉さんぶっている妹が好きだ。
甘えん坊な妹が好きだ。
無口な妹が好きだ。
運動が大好きな妹が好きだ。
病弱な妹が好きだ。
発明好きな妹が好きだ。
お洒落好きな妹が好きだ。
ツンデレな妹が好きだ。
エロゲーに出てくるありとあらゆる妹が大好きだ。
更なる萌える妹を望むか?
情け容赦ない天国のような妹を望むか?
妹!妹!妹!よろしい、ならば妹だ。

げふんげふん。とにかく、そんな完璧で非の打ち所の無いあたしであるが、たった一つだけどうしようも無い汚点がある。我が家は二階建ての一軒家で、家族構成は両親とあたし、それから兄の四人。そう、兄だ。スーパーなあたしと当然のように対比される三歳年上のあいつだ。黒髪で細身、そこそこ背は高い方で、顔も決して不細工ではないのだが、死んだ魚のような濁った無気力な瞳が人を苛立たせる、常にだるそうな男。それだけではない。年下の女の子ばかり構うあいつの姿は傍から見てキモい変態だ。受験生であるはずなのに黒いのやらでかいのやら、ちょっとあたしが目を放すとすぐに女の子を家に連れ込んでいる。その上どうしようもないほどシスコンである。つい先日も、アメリカ留学をしていたあたしを寂しさのあまり連れ戻しに来たりもしやがった。いや、本当にどうしようも無いな、あいつ。やばい、あたし貞操の危機じゃねwww

「何処までシスコンなのよ、アイツ」

ケラケラと一通り笑う。さて、そろそろ本題に入ろう。そんなあたしの兄貴がどうもここ最近おかしい気がする。変態なのは何時ものことだが、時折藻が浮いた沼のようなあいつの瞳にギラギラとした光が見受けられるのだ。それも、家から家族が居なくなるという話題を振ったときに限って。何時だって『普通で無難』をモットーにする日和見主義の草食男であるあいつがあんなリア充のような目つきをするなんて珍しい。と言うかありえない。

「・・・ん〜?」

誰もいないリビングで首を捻る。一秒、二秒、三秒。しばらくしてから、ようやっと回答に思い当たる。エロゲーだ。なるほど、それならば納得だ。あいつはどうせ家族が居なくなった途端、部屋に篭ってエロゲーをプレイしては、
『りんこりん可愛いよ、りんこりん。萌えーっ!俺の妹になってーっ!!』
などと絶叫プレイをしているに違いない。エロゲーマーの鑑である。とてもキモい。

「よし」

あたしは立ち上がる。ぐいっ、と伸びをして視線を二階へと向けた。今日は都合の良いことにお母さんは出かけている。あたしも出かけると言付けてやればきっとあいつは何時もの羞恥プレイに耽ることだろう。そこにすかさずトンボ帰りをしたあたしが恥ずかしい現場を写メってやるというわけだ。

「ぷっ、ぷすすっ」

最近調子に乗っているあいつに一泡吹かせてやることが出来るだろう。だから、あたしはまだその時はすっかり忘れていたのだ。もう、『なくしたもの』が二度とあたしの手には帰ってこないのだ、という当たり前の事実を。忘れていたのだ。いや、正直に言うと。忘れて、いたかったのだ。





「・・・しっかし、京介ん家って何時来ても親いねーよな。何、共働きだっけ?」
「いや、そんなことはない。俺たちがしていることを親に知られるのはまだヤベーからな。家族がいない時を見計らって・・・桐乃に招かれたときもそうだったのか?」
「そーだよ。あたしもさぁ、挨拶するのなんてめんどーだから親なんか居ない方が楽だけど・・・」

俺の部屋に入ってきた恋人と最初にした会話はそんなものだった。付き合い始めのカップルのような、いや事実その通りなのだが、どこか浮付いた雰囲気である。そりゃわざわざ桐乃も両親もいなくなったのを見計らって呼び出したのだから、まだまだ色々な初心者である俺が期待にソワソワしてしまうのは仕方がないのだろう。

「何だ、気になるのか?」
「そりゃ、京介も言ってるけど以前遊びに来た時とはじょーきょーが違うんだから当然じゃね?ってことは専業主婦なんか」
「ああ、パートとかにも出てないし」
「親父さんは何している人?」
「警察」
「げっ!?」
「・・・オマエ、警察に構えすぎだろ。何顔青ざめさせてんだ」
「京介も一度警察署に連行されれば加奈子の気持ちが分かるぜぇ?加奈子とお揃いになりたいだろぉ〜〜!?」
「勘弁してくれよ、親父にマジで殺される」

青ざめた顔をしかめさせる加奈子の言葉にそういやコイツは前科一犯か、と思い出す。いや、喫煙って言っても補導だろうし、そんなもんじゃ前科はつかねーのか?良く分からない。どうせこのクソガキがもうタバコを吸っていないことは良く分かっているのだから、警察に連れていかれることはないだろうけどな。何で分かっているかって?そりゃ、あれだ。まぁ、アイツの口はタバコ臭くないからな。

「そーいやオマエ、何持ってんだ?土産か?」
「へっへっへー。京介が喜ぶもんだよ。ロリコンな彼氏に付き合う彼女はホント大変だぜー」
「・・・まぁな」
「コイツ、認めやがった。まじキメぇ。あーあ、加奈子、ロリコンが犯罪に走らないようにって彼女にまでなって、ホント、自己犠牲精神に溢れすぎだよな〜」
「くそ、何でこんなクソガキを彼女にしてんだ、俺。泣きたくなってきた・・・」
「あん、何だよその言い方は。こんな超絶可愛い加奈子が彼女なんだから、喜びこそすれ悲しむことなんてねーっての。本当は今も加奈子のこと滅茶苦茶にしたくてたまんねーんだろ?」
「うっせー。オマエのせいで最近胸の大きなアイドルのグラビア見ても、ふーん、としか思えなくなってきたんだって!まじ色々やべぇよ!!オマエ、責任とれよ!?」
「はいはい、ロリコン乙〜」
「くそ、この見た目小学生め・・・」

嫌味な口調で侮蔑の言葉をかけてくる女はどう贔屓目に見ても俺に好意を持っているとは思えない。コイツ、俺のこと好きとか言ってるの何かの間違いなんじゃねーか?初めてを捧げてくれた彼女に対して、相変わらずなそんな疑問さえ覚えてしまうのはまぁ、仕方のないことだろう。

「ほらほら、京介ぇ?加奈子の肌にこうやって触れるたった一人の男なんだからさ。ロリコンでもいいんじゃね〜〜?」
「・・・って、オマエなぁ!?」
「って言うか、ちょ〜〜幸運?加奈子みたいな可愛い女の子が彼女になってくれるなんてぜってーありえないんだから、まじ嬉しいくせにぃー」

ニヤニヤと人を小ばかにした笑いを浮かべた加奈子の腕が俺の両手をとって、彼女の身体にぴったりと押し当てる。俺の体温よりも熱く感じる加奈子の肌に触れるとしっとりとした肌触りのせいか、俺の少し冷えた心を思春期の高校生らしい性欲が凄まじい勢いで溶かしていく。
既に全く力を入れていない加奈子の腕を添えたままに、彼女の身体中を自分の意志のこもった両腕が這いずり廻っていく。コイツとコトに及ぶのはまだ数える程度の回数だが、加奈子が言うロリコン云々の台詞を既に俺は真っ向から否定できそうに無かった。マジでコイツに嵌っている。

「でもまーだ早ぇんだよ。京介、お預けっ!お触り厳禁だっつーーーの」
「ちょ、何だよ、オマエから誘ってきたんじゃねーか。ノリ気になってからそりゃ、ねーだろ?」
「あんだよ、そんな泣きそうな顔すんなって。ずっとダメだーーっ何て言わねーから安心しろって。今日はコイツ持ってきたからさ」
「・・・それって」

部屋に持ち込んでいた紙袋から色鮮やかな布きれを取り出した加奈子が、ニヤニヤとイタズラを思いついた子供のように楽しそうで意地悪な表情を浮かべる。ピンクを基調にした、度々目にしたことのあるソレは、彼女の仕事道具だ。つまり。

「メルルコスでコスプレHしよーぜっ!」



「おおおっ、これやべぇな。マジでドキドキが止まんねぇ」
「んだよ。加奈子よりもメルルのが良いってのかよ?」
「そうじゃねーよ。これ着てるお前は言っちゃえばアイドルみたいなもんだろ?色んな男がこれ着た加奈子に声援送って応援してるわけだろ?ステージとか思い出しちまうと、やっぱ、すげー興奮するって」
「マジキメぇ。ロリコンで処女厨で独占欲つえぇーし・・・あんっ♪」
「ちょっと黙ってろ」
「ちょ、いきなり胸ぇ?」

ベッドに仰向けに横たわるメルルコスに着替えた加奈子に、覆いかぶさるような体勢で俺はのしかかっていた。身体が小さいせいもあって完全に俺に押さえつけられた格好の彼女の姿は、まるで一方的に蹂躙されている無力な少女のようにも見える。
・・・喋らなければ、の話だが。

「格好はメルルなのにオマエが喋るとそのまんまクソガキだからな。雰囲気出そうぜ、折角だし。えーと、囚われの魔法少女が敵の幹部にひどいことされるとかさ」
「ちっ、何だよ、それぇ?あんまり調子に乗ってっと・・・ぁひっ♪ちょ、もがっ」
「調子に乗ってっと・・・どうなるって?」
「ひぃぁっ♪」

加奈子は一方的に攻められると凄まじく感じてしまうようだが、どうも心情的にはあまりそーいうやられっぱなしなのは好きではないらしい。そんな彼女の思惑を果たすべく、加奈子の手がベッドの隅に無造作に置かれたメルルの持っている『ブースターロッド』に伸びる。しかし、俺が胸元のリボンを押しのけて薄い胸に手を這わせながら、もう片方の手を口の中に突っ込んでやって頬肉を内側からグリグリと刺激してやると、加奈子はすぐに甘えたような声を洩らしてしまう。カラン、とベッドから転げ落ちた撲殺用凶器を気にすることもなく、口の中からべとべとに唾液で濡れた指を引き抜いて改めて胸元に視線を落とす。踊ったりしてもずり落ちたりしないように彼女の身体にマッチしたコスプレ服は、その露出度に反してしっかりと加奈子の胸がはだけないようにガードしていたのである。

「あれ?これ・・・リボン外れないぞ?」
「む、結んでない・・・から。裏っかわにボタンがあんからさ」
「お、これか?」

パラリ、とそんな擬音が頭に浮かんだ。ボタンを外すとあっさりと彼女のはだけた胸元が俺の視界に飛び込んでくる。加奈子も反抗するのは諦めた様子で、ただ俺に対して少しだけ恨みがましい瞳でじぃ、とまっすぐな視線を向けている。どちらにしても心臓と、それから俺のリヴァイアサンが凄まじい勢いで自己主張をしていてどうにも収まりが尽きそうにない。俺は無言で、加奈子の年相応の、いやソレよりも幾分か可愛らしくもいやらしい自己主張を始めている胸の先っぽを両手でしっかりと包み込む。

「・・・きょ、京介ぇ」
「触るぞ、ちょっと乱暴になるかもしんねぇけど・・・いいか?」

ゴクリ、と俺のかそれとも加奈子のか、どちらともなく喉が鳴った。しん、と静まりかえった部屋で少し時間が流れる。俺も、彼女も身動きすらしない。やがて、加奈子の首がこくん、と縦に動いて・・・。

「バカ兄貴っ!何一人で寂しくエロゲーしてんっ・・・・の、よ・・・」

バタンっ!と部屋のドアが思いっきり開け放たれた。そこに立っていたのは、先ほど夕方まで出かけてくる、とわざわざ宣言して家を出て行った・・・俺の妹が片手に携帯カメラを構えて立ち尽くしていた。何事か叫んでいた台詞は尻つぼみに小さくなり、ぽかん、と大口を開いた顔が読モ様にしてはひどく滑稽である。俺は加奈子のはだけた両胸に押し付けたままの腕をどかすことも出来ず、部屋に入ってきた闖入者へと視線を向けることしか出来そうも無かった。

「・・・あ、あ・・・ああ・・・」

カシャリ。電子的なシャッター音が部屋に響く。あれ、やばくね?と思わなくもないが、どうやら俺も混乱しているらしい。口をパクパクと開閉するばかりで何も言葉が出てこない。これは気まずい。どうしたら良いのか想像もつかない。

「あ、あれ・・・?メ、メルル・・・?何で、兄貴の部屋に・・・メルル?」

カランっ、と軽い音を立てて妹が持つ携帯電話が滑り落ちる。そんな事には気付かないのか、尚も妹はうつろな視線でありえない超常現象を見るように俺と加奈子の姿をガラスのような無機質な瞳で見つめていた。

「さ、三次元にメルル・・・?そうよね、これは夢、夢よ・・・」

携帯電話を構えた姿勢のまま伸ばしていた右手を妹は自分の頬に持っていってぐい、とかなりの勢いで引っ張る。その後もブツブツと聞こえない声量で何事か呟く彼女の姿に、誤魔化すなら今しかないと俺は搾り出すように声をあげた。

「お、お医者さんごっこ・・・」
「いや、そりゃねーだろ!?」

さすがにありえない言い訳に加奈子の素の突っ込みが入る。その声を聞いた桐乃がようやく、メルルコスをしていた少女が一体誰なのか気付いたようだ。ぎょっと目を見開いて、息を吸い込む。

「な、何でぇえええええっ!!加奈子ぉおおおおおっ!!?」

そして、夏休みも終わりに近づいた住宅街の真中の昼下がり、妹の悲鳴が近所に響いたのだった。





「・・・何してたの」
「そりゃセック・・・」
「わーっわーっ!こら、もうちょっと言い方を考えろ!」

それから少し時間が経ち、俺と加奈子は桐乃の部屋に連行されていた。カーペットの上に直に正座させられた俺と、桐乃の殺気さえ篭っていそうな視線も気にした様子を見せずにあぐらをかいている加奈子の前で、仁王立ちをしながら妹が冷え切った声を出した。それでも動じた様子を見せない加奈子に、逆に俺がビビリっぱなしである。

「うっさい静かにしろ。この発情変態コスプレマニアロリコン。それから、あんたには聞いてない」
「・・・ぐ」

桐乃の何処までも鋭くも冷たい言葉に思わず口を噤む。続く妹の台詞は加奈子に向けられたものだが、友人に向けたとはとても思えない発言に加奈子は眉をひそめていた。だが、すぐに言い返したりしないあたり、さすがのクソガキとは言っても場の雰囲気を少しは読んでくれたようだ。

「はぁ?なにが聞いてないって?桐乃ぉ、あんたさ、加奈子と京介が〜〜っ、セックスしてたら何か悪いことでもあんの〜?京介はぁ加奈子の彼氏なんですけど〜?」
「ちょ、ちょっとおまっ!何言ってんだ!?」
「・・・っ!」

と思ったのも束の間である。このガキ、まるで空気読んでない!
ジロリ、と俺を忌々しそうに睨み付けてきた桐乃ではあったが、さすがに顔を真っ赤に高潮させて恥ずかしそうにしていてはまるで迫力はない。苛立たしい気持ちそのままに、綺麗にセットしていた髪をぐちゃぐちゃとかき回した妹は、今度は憎らしげな様子で加奈子へと視線を移す。
・・・やべ。コイツ、マジギレしてねぇか?
俺を見ていたときは赤らんでいた頬も逆に青みを帯びて、桐乃の吊りあがった眉と眼差しは散々冷え切っていた俺たちの昔の関係から通してみても初めて見る表情だった。
俺に任せろ!って?
・・・いや、すまん。無理だ。コイツ、超こえぇ。

「何あんた。ソレ、マジで言ってんの?」
「そりゃマジだよ。加奈子はぁ、京介と付き合ってるぜ〜〜」
「嘘つかないで」
「アレ見といて嘘でした、で桐乃は納得できんの〜?きひひひっ、その方がやべぇよ」
「五月蝿いっ!」

桐乃は加奈子の胸ぐらを掴まんばかりにいきり立ち、噛み付かんばかりの勢いで迫っていた。実際、メルルコスなんて服を加奈子が着ていなかったら、桐乃はそうしていたかもしれない。
・・・しかし、どうしてだ?
桐乃はどうして『俺ではなくて』加奈子に声を荒げているのかが分からない。加奈子は、オマエの友達だろ?その友達を兄貴が彼女にしたなんて、そりゃ桐乃は俺を攻めるべきなんじゃないのか?

「あたしは認めない!そんなの認めない!絶対に許さないから!!」
「ぁん?」
「お、おい・・・桐乃・・・?」

桐乃が癇癪を起こしたように叫ぶと、さすがの加奈子も不思議そうに首を捻った。かく言う俺も、桐乃の真意がまるで分からずに頭の中は疑問でいっぱいだ。桐乃は一通り声を張り上げると、ぜいぜいと息を荒げながら加奈子を睨みつける。その視線に、アイツは何がしかの合点がいったようだった。

「あんだ。そーいうことね」
「何よ!」
「桐乃さぁ。兄貴を加奈子に取られるのがイヤなんだろ?ぶっちゃけ加奈子にジェラってるわけ?」
「違う!バカなこと言わないで!!」
「バカじゃねーだろ。そりゃ加奈子は桐乃みてーに頭よくねーけどさ。上いるし。桐乃の気持ち、わからねーでもないからさ」
「・・・違う違う!あんたん家とウチは違うの!」
「そりゃちげーだろ。でも、そんなもん、何処の兄弟だって少しはあるもんじゃね?加奈子だってちょっとはあったよ、そー言うの」
「そんな訳ない!あたしは兄貴なんて大っ嫌いなんだから!!大大大大大っ〜〜〜嫌いっ!!」
「んで?」
「だけどあたしの兄貴なの!せっかく、せっかく・・・また話せるようになった兄貴なの!!もう二度と・・・絶対、誰にも渡さないっ!!!それがあたしの気持ち!!何か文句あるっ!!?」
「あん?だから加奈子の言った通りっしょ?」
「違う!全然違う!!あたしの気持ちはあんたには分からないっ!!・・・ちっ」

声を荒げる桐乃に、俺は何も言い返すことなんて出来なかった。多分、同じだ。コイツは俺と同じ気持ちを持っていた。俺だって桐乃のことは大嫌いだ。だけど、コイツに彼氏なんて出来たら、絶対に似たようなことを言うだろう。いや、俺のことだからもっと滅茶苦茶かもしれない。

「・・・きり」
「じゃあ、こうしね?」
「何よ?」

妹に大切な、俺の気持ちを打ち明けようと口を開けたその時、加奈子の何も考えてなさそうな声が響いた。あまりにも変わらない、場の空気を読まない気楽さに、思わず桐乃も言葉を返してしまう。俺も思わず口を噤んでしまった。

「加奈子はさ、京介のこと好きだよ。だから桐乃に何言われたって別れる気ねーし。でもさ、桐乃はそれじゃ納得しねーんだろ」
「そ、そーだけどさ。あんた・・・本気で・・・」
「本気だよ。好きだよ。愛してるって言ってもいーし。ぶっちゃけちゃうと、自分だって何でこんなしょぼいやつをって思わなくはねーけど。どーしてこんなに本気なのか分かんねーよ、初めてだらけだしさ」
「・・・じゃあ、どうするってのよ。あたし、譲らないよ」

何時か加奈子が俺に告白してくれた台詞に近い心情の吐露に、桐乃が戸惑っているのが分かる。俺だって同じだ。ふざけてばかりでチャランポランで何が本気なのか良くわかんねー加奈子だけど、アイツは、根っこのところで妹に近いんだ。譲れないものは、本気のものは決して、曲げない。それは、桐乃にも分かっているんだろう。だからこそ桐乃は先ほどの勢いを削がれた格好のまま、本気になった加奈子のペースに巻き込まれていた。

「だからさ」

加奈子は一度区切ってから、続けた。にまにまと、ソレは凄い人の悪そうな笑顔で。

「交換条件でどーよ。桐乃さ、確かブリジットのこと超好きとか言ってたよな?」
「・・・ん、うん、好きだけどさ」
「ブリジット、一日貸してやんよ。好きにしていいし」
「そ、そんな餌にあたしが釣られるとでも・・・」

桐乃、超挙動不審。
おい、さっきまでのシリアス何処行った。どんだけアイツ心動かされてんの!?目が凄い勢いで泳いでるんだけど!!オマエにとってついさっきの台詞の数々は一体なんだったんだ、って苦情が来てもおかしくないよ!!?

「ブリジットに『お姉ちゃん』って桐乃のことを呼ぶように言っておいてやんよ」
「・・・クマー」

おい。桐乃よ、そりゃあんまりじゃね?クマーじゃねぇっつの。2ch知らない連中置いてけぼりだぞ。
・・・俺も泣きたくなってきた、いや、割とマジで。
そんなわけで。なし崩し的に桐乃は、俺と加奈子が付き合うことを認めたのだった。こんなオチで良いのだろうか。





今日の後日談。というかオチ。
「言っとくけどさ。あたしは別にブリジットちゃんに釣られてどうこう、ってわけじゃないんだからね。そこんとこ、ちゃんと分かってる?」
「あん?いや、俺は別に・・・」
「加奈子は本気であんたのこと好きらしいし、ここであの子逃したらあんた一生独身じゃん?さすがにちょっと可哀想だと思ってさ」
「そうですか」
「何よ、その白けた目つき。マジムカつく。死ねばいいのに」
「はいはい。・・・それで桐乃、今日は随分とおめかししてんのな。モデルの撮影か?」
「はぁ?バカなの、あんた?今日はブリジットちゃんとデートに決まってんじゃん!フ、フヒヒ・・・やば、考えただけで頬緩んできた。えへ、えへへ・・・」
「オマエ、本気でヤバイぞ。道を踏み外すなよ、頼むから・・・」

(続く)