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俺の妹がこんなに可愛いわけがないSS 或る結末の続き0.1 第1話


この物語はフィクションであり登場する人物・団体・その他名称とは一切関係ありません。PSP版『俺の妹がこんなに可愛いわけがないポータブル・加奈子編』の後日談に相当する二次創作小説です。
特典小説を読んで驚愕したものの敢えて突き進む勇気なんだとか。それは勇気じゃなくて無謀なんじゃないかって?
・・・言ってやるなよ。頼むから。








そんなわけで俺は加奈子と付き合うことになった。え?何がそんなわけだって?ソイツはアレだ。絶賛発売中の『俺の妹がこんなに可愛いわけがないポータブル』をプレイしてくれりゃわかるさ。
・・・ん?横着しないで説明しろって言われてもな。正直に言っていいか?すまん、俺もどうしてこうなったのかはよく分からない。まるで、わずか一個分のエピソードがあったかのようにしか思い出せない。しかもざっくりと『加奈子編』とだけとか。誰か、この謎を解き明かしてください。それだけが僕の望みです。そんな小ネタをはさみつつも、俺は改めて彼女のことを思い浮かべる。

来栖加奈子。

俺の妹である高坂桐乃のクラスメイトにして自宅に招くぐらいに親しい友達。つまり中学3年生の女の子。顔の作りは雑誌モデルもしている家の妹と比べても見劣りしない可愛い少女で、身長は特徴的なまでに小さい。小学生と見紛うほどの背しかないばかりか、プロポーションもそれに見合った慎ましやかさを誇る。ぶちまけてしまうと胸は膨らんでいるかなんて服の上からでは分からないぐらいだし、お腹はぷよぷよとした触感でウエストのくびれなど欠片も感じさせない。
・・・これは実際に触って確かめたから間違いない。
いや、マジで子供腹なんだよ、アイツ。
桐乃の表側の親しい友人、ということで言ってしまえば今時の女子中学生、ソレもお洒落に気を使い、流行に敏感で渋谷やら新宿やらに居そうな垢抜けた、いわゆる勝ち組っぽい雰囲気の女の子に相応しく、毒舌でナマイキでこまっしゃくれた・・・世の中を舐めきっているクソガキだ。もちろん、それだけではない。彼女の良いところも俺は知っているつもりだった。

「・・・それにしても遅い」

俺は腕時計に目をやってつぶやく。今立っている場所は毎度お馴染み秋葉原である。総武本線から直接入れる駅ビルは少し前にリニューアルしたばかりなせいもあり、真新しい建物の中に居るとソレだけでワクワクと胸が高鳴ってくる。が、それも15分ほど前までの話のことだ。今の俺はチラチラと時計を気にするばかりで、大分余裕がなくなっている。今日は加奈子と待ち合わせをしていたのだが、約束の時間は既に少し前に過ぎている。こんなことなら地元で待ち合わせをすれば良かったと思うが、そんなことは今さらの話である。後悔先に立たずってやつだ。

「・・・はぁ」

待っている間、退屈を紛らわせるために始めた加奈子談義であるが、そろそろネタが尽きてきたぞ。ああ、そうか。彼女を語る上で一つだけ、抜けてはいけないエピソードがあった。それは・・・。

「わりぃわりぃ〜!遅れたけどさ、加奈子みたいな美少女が相手だと思うと待つのも楽しかったんじゃね?」

・・・こいつは。
遅れたのを悪びれない姿勢もそうだが、それ以上に、だ。俺のモノローグを邪魔するんじゃねぇ、と突っ込みを入れたい。

「うるせぇ。誰が美少女だ、5分や10分ならそれでも良いけど30分近く待ったぞ」
「そりゃー、ご苦労様だけどさー。加奈子、遅刻したの10分ちょっとだよな?」
「・・・俺は20分前に来たんだよ」

ちょっとだけ、むっ、として目つきをわずかに吊り上げた加奈子が唇を尖らせる。きっとコイツのことだ。俺が『今来たところだ』とでも言うんじゃないかと勝手に考えていたのだろう。そのあたりの傍若無人振りは俺の妹と良い勝負だからな、この女は!
ちくしょうめ!

「ぷっ。それって加奈子と少しでも早く会いたくて急いで来たってこと〜?
しゅしょうな心がけじゃん?」
「・・・うっせぇ」

身長差からどうしても見上げるような格好になってしまう加奈子だが、ほとんど密着するような距離で可愛く上目遣いをされてシナを作られると思わず俺の頬が赤く染まり、下手な言葉を返せなくなる。殊勝も漢字で書けそうもないクソガキになんという・・・不甲斐なさである。

「ひひひっ。ほれほれ、加奈子にくっ付かれて嬉しいくせに」
「や、止めろって。周りの目もあるんだぞ!?」

俺の動揺が伝わっているせいか、面白がってぴったりとくっ付いて腕を絡ませてくる加奈子に思わず慌てふためく。そう言った態度が余計にアイツを増長させるのは分かっているのだが、実際にジロジロと見られているせいもあって落ち着けそうもない。

「・・・リア充市ね」
「今言ったヤツ出て来いやゴラァ!!」
「・・・まぁ、こんな場所でこんな事やってればなぁ」

すれ違いザマに通りすがりの見も知らぬ方に『この場所では』ある意味当然の言葉を頂戴する。加奈子は激高しているようだが既に発言者は影も形も見当たらない。まぁ、秋葉原でイチャイチャしていればその言葉も納得である。桐乃や黒猫辺りでも同じこと言ってきそうだよな!?

「と、とにかく移動しようぜ?何時までもこんなとこに居たらさすがに・・・な」
「ちっ、何だよ?まじうっぜ」

イライラとした雰囲気を隠すこともなく毒舌を撒き散らす加奈子に思わずため息をつく。コイツ、すげー怒ってやがる。別に目が戦闘色なわけではないが、舌打ちをして口汚い言葉を吐いていれば誰だって一目瞭然だ。さて、どうしたものか・・・?

「そ、そういや、今日は随分と可愛い格好だな。すげー似合ってるぜ」
「あん、何だよ急に?」
「いや、髪も何時もより綺麗に整っているし、その今日遅れたのってさ」
「そ、そりゃ美容室行ってきたばかりだしよ・・・。あ、か、勘違いすんじゃねーぞ。別に京介のためじゃねーんだからな?丁度そろそろ行こっかなーと考えていたところだったしよ」

もごもごと、続く言葉を口の中で囁くように続ける加奈子だったが、少しは機嫌を持ち直したらしい。ちなみに今日の加奈子の髪型は美容院に行ってきたらしいとは言えいつもと同じツインテールである。ある意味アニメのキャラみたいな髪型でこの秋葉原という土地に似合いすぎるほど似合っているが、コイツほどぴったりとくるヤツはめったにいないだろう。逆にファッションは秋葉原にまるでそぐわない、お洒落な繁華街にでも居そうな垢抜けた衣装である。言ってしまえば桐乃と似たようなもんで、駅ビルの中にいるうちは良いのだがオタクスポットにでも行こうものなら一発で浮いてしまうこと間違いない。

「ほら、行こうぜ?
・・・と言うか今日はどうして秋葉原なんだ?加奈子だったら東京出るでも渋谷とか原宿とか、そっち方面じゃないのか?」
「そっちでも加奈子はぁ、別に良いんだけどぉ。逆に新鮮じゃね?それに桐乃がオタクだって分かったし、あたしもそっちの仕事してんだから、一度見ておこうかなとか思っても良いじゃねーか。京介も好きなんだろ、アキバ?」
「いや、実は俺はあまり・・・。桐乃とかその友人に付き合わされるぐらいで詳しくないんだよ」
「あ、そうなん?んだよ、折角案内してもらおうかと思ったのにさ」
「まぁそのぐらいなら大丈夫だろ。それでも1年も通ってたら自然と詳しくなったしさ」
「ふぅん・・・。ま、いいけど〜。じゃあ加奈子を精一杯エスコートしてよね?か、カレシの務めだかんさ」
「はいはい、彼女様のご命令のままに」

もちろん加奈子もイベントで秋葉原に来ることも度々あるらしいが、このところは夏休みと言うこともある上にメルルは新シリーズが企画されている面もあって、ビックサイトや幕張メッセといった大型ホールのイベントに出演することが多いらしい。ちなみにこの前のブリジットに目撃された、俺と加奈子が付き合うきっかけになった例のイベントもそんな感じだった。俺はそんなことを考えながらもエスカレーターに乗って駅ビルを下る。
・・・駅ビルが出来たせいで山手線のホームを抜けなくていいのは楽だよな。

「ふぅん、こっちのが人少なくて空いてるのな。加奈子、今まで知らなかったし」
「まぁ、この駅ビル自体が再オープンしたばかりみてーだしな。とは言え300円のお好み焼き屋が影も形も無くなったし、もうこのビルが秋葉原デパートですらないのは少し寂しいもんだ」
「何か電波受信してねー?」
「ああ、多分してた」

作者の心情の代弁などをしつつも、エスカレーターに揺られながら加奈子に向き直る。さて、何処に行くべきなのだろう。エロゲーショップかアニメショップかゲーセンぐらいしか知らねぇぞ、俺は。
・・・とは言え加奈子が家電を見に来たわけでもなければパソコンパーツを買いに来たわけでもないことぐらい分かっているし、多分桐乃が良く行く店を巡れば満足するだろう。多分。

「それじゃあ最初は何処がいっかな。・・・万世橋警察署?」
「・・・ワザとだろ。てめー」

ギロリと音がしそうなほど鋭く俺のことを睨み付けてくる。まぁ、コイツにとってあの警察署は因縁の場所だろうからな。ただし加奈子は見てくれよりもさらに甲高いロリボイスを標準装備しているせいか、凄んでみせてもまるで怖くないので桐乃やあやせと違って好きなだけからかえるのだ。

「最初はここでよくね?」
「は?」

そう言って加奈子が指差したのはエスカレーターを降りたすぐ先にある・・・アイスクリーム屋である。無論、秋葉原専門のアイス屋などではなく、我らが地元にほど近い場所の名前を冠した屋号だった。

「マザー牧場ソフトクリームうまそーだよな」
「俺がぼかして考えていたのに、加奈子め!?」
「京介、ほらほらお金お金」
「おめーはもう注文してやがるし・・・」

そして当たり前のように俺にタカる加奈子である。コイツの辞書にはきっと遠慮という言葉は存在しないのだろう。

「ふんふ〜ん♪」

備え付けの小さなフードコートでソフトクリームをぱくつく少女を眺める。女の子らしくペロペロと舐める・・・なんてことはなく大口を開けてバクバクとアイスを口に運んでいく姿はお世辞にも恋人に見せる姿とも思えない。それにしてもアキバに来てもう今日公開分の分量の半分が過ぎたのにまだ駅ビルから出てすらいないってどうよ。

「ん?さっきから加奈子の顔見て何かあったぁ?ぶっちゃけウザいんですけどぉ」
「・・・オマエは」

頭を抱えてしまいたくなる。何で俺、コイツと付き合ってるんだっけ?

「しょ、しょーがねぇなぁ。加奈子が食べてるアイスがほしいなんてまじキメーけど、ほ、ほら?仕方ねーからめぐんでやんよ」
「い、いや、そうじゃ・・・」

う。顔を真っ赤に染めて照れくさそうに言われると、くそ、ときめいてしまう。『そんなつもりじゃなかった』と言うことすら口ごもった自分に呆れつつも、プルプルと小動物のように震えながら食べかけのソフトクリームを差し出してくる加奈子は正直、とても可愛かった。

「は、早くしろって?」
「わぁーったよ。・・・お、旨いなコレ」
「だろー。加奈子に感謝しろよなー」
「おう、ありがとな」

普段の意地悪そうな表情とも、ステージで見るぶりっ娘な表情とも違う、素直そうな顔で笑みを浮かべる加奈子に一瞬見とれてしまいそうになるが、思い返してみるとソフトクリームを奢ったのは俺である。礼を言うのは何か違う気がする。言ってから蒸し返すつもりはさすがにないが、そんな感情も俺が食べた後を味わうようにゆっくりと口をつける加奈子の様子をみるだけで萎んできてしまう。ああ、くそ、何か俺、本格的にロリコンになってきてねーか?

「・・・さって。それじゃあ行こーぜ」
「あいよ」

コーンまでサクサクと音を立ててあっと言う間に食べつくした加奈子が立ち上がるのにあわせて、とりあえずその辺の悩みは放置して一緒に席を立つ。ま、まぁ、たまにはロリコンもいいんじゃね?

「それで何処連れていってくれんのさ。・・・あ、アレ美味そうじゃん?」
「って、おい!?今度は何処行くつもりだ!」

ようやく駅ビルから外に出れたと思ったのもつかの間。またもや加奈子がフラフラと釣られるように歩いていってしまう。ああ、もう!本当にアイツ危なっかしいなアイツ!?

「何で駅前でケバブ売ってんだよ?秋葉原おもしれーな?」
「・・・いや、そこに食いつくのかよ」

言葉通りの意味である。加奈子は目を輝かせんばかりに屋台のそばまで歩み寄り、くんくん、と香ばしい肉の塊が焼ける匂いを嗅いで今にもヨダレを垂らさん勢いである。欠食児童か!

「腹減ってんのか?」
「そーでもねーけど・・・。いや、やっぱり空いてきたかも」
「おいおい。そんな食ってばかりいるとまたお腹ぷにぷにになるんじゃないか」
「ぷにぷにとか言うなってんだろ!?」

マジ切れした様子の加奈子が叫ぶ。俺が思っていたよりもかなり気にしてるのかもしれない。太いとは思わないけど、如何にもなモデル体系の桐乃やあやせと比べるとさすがに少し肉付きが良い方だろうからな。
・・・真奈美とは比べると可哀想だから比較はしないけど。どっちが可哀想なのかは敢えて言わないけどな!

「ばくっ。もぐもぐ・・・お、うめー!」
「って言ってるそばから買ってんじゃねー!?会計はどうした!」
「よろしくー」
「よろしくすんな!?」

叫びながらどう見ても外国人な定員さんにお金を渡す。とりあえずもっとぷにぷにになってしまえと、想像の中で加奈子に呪いをこめておく。それから、まだ昼には早すぎる時間だからか、人っ子一人いないベンチに席をとった加奈子の隣にどかり、と座り込んだ。

「で、これからどすんのさ?」
「そうだな・・・ま、加奈子が食い終わるまでには決めるさ。ゆっくり食えって」
「ふぅん、加奈子、あんまりキメェところはヤダかんな。臭いところとか論外だし」
「・・・消臭剤くさい店が多いんだよな。理由は考えたくはないけど」
「何だよソレ、マジやべぇ!」

ケバブを美味しそうにパクつきながらケラケラと笑う加奈子を見ていると、こっちまで小腹が空いてくる。俺も買うか?いや、でも一つはちょっと多いよな、アイツが食っているのを見る限り結構なボリュームがありそうだ。

「なぁ、加奈子?さっきのソフトクリームみたいに少し分けてくれよ?俺も食べてみたい」
「ぁん?」
「いいだろ?どうせ昼飯は別に食うんだしさ、全部一人で食わなくてもさ」

少しの恥ずかしさはあったが、どうせ既に通った道だ。知り合いに見られているわけではないのだから、もう割り切ってしまえと提案した俺の言葉に、加奈子は考えるような素振りを見せた。咀嚼していたケバブをごくり、と呑み込んで。俺とケバブの間で視線を一巡させる。それから、改めてケバブをパクリ。って。おい!?

「くれねーのかよ!?」
「ふぁまぁっへろ」
「はぁ!?」

口の中にモノが詰まったまま、何事か聞き取れないことを呟いた加奈子がそのまま俺に近づいてくる。え、何するつもりだコイツ。俺が加奈子の思惑に気付くよりも遥かに早く、彼女の唇が俺のまん前に迫ってきていた。

「んぅ!?」
「じゅるっ!じゅじゅじゅ・・・」
「もが?がぼべが!?」

流し込まれる。鳥の雛はこんな気持ちなのだろうか。怒りも恥ずかしさも何もかもすっ飛ばして呆然と加奈子の奇行をただただ受け入れてごくりと、肉とパン生地と野菜と、それから加奈子の体液が混じりあった何とも言えない不可思議な物体が俺の喉を通っていく。俺が我に返る前に、さらにもう一度。

「おかわりやんからよ」
「ちょ、ちょ、待っくぁwせdrftgyふじこlp!?」

決して美味しいものではない。それどころか言ってしまえば不快に近い、ねちゃねちゃとした流動体のほんの一瞬前までドネルケバブと呼ばれていたはずの物体が喉に流れていく。ああ、すげー気持ち悪い。気持ち悪いのに・・・何かすげー興奮してきた。

「・・・どうよ。加奈子のセカンドキスは?」
「い、いきなり色々すっ飛ばしすぎじゃないかと思うんだが・・・」
「でも気持ちよかったんだろ、この変態。キメェ」
「そ、そんなわけねーだろ、だ、大体オマエの方がよっぽど変態だってーの!何だよ、オマエは鳥類かってーの!?」
「うっせ。さっきの京介の顔、マジ恍惚としててキモかったし。そっちの方がどう見ても変態じゃね?」

くそ、口の中が何か別の生物になったかのようにすげぇ熱い。思春期真っ盛りな男相手にコイツ、何してくれてんの!?って言うかオマエも顔すげぇ真っ赤だし。どんなエロゲーだよ!セカンドキスは肉の味。生臭い感じだな、オイ!
・・・すごい混乱しているな、俺。

「オマエ、どう見てもセカンドキスとかじゃねーだろ。ありえねーよ、肉の味だぞ、肉の味。セカンドキスは肉祭りか!?」
「ちょ、何でそうなるんだよ!加奈子、男と付き合ったことねーし、この前のが初めてのキスだって言ったじゃねーか!」
「いや、正直言って今のはさすがに信じられねぇ。マジドン引きだぜ」
「・・・って」

俺が素直な感想を返してやると、加奈子は搾り出すような声を洩らした。聞き取ることは出来なかったが、かなりテンパっているのはコイツの表情を見ていれば良く分かる。じっとりと額に汗が浮かび、引き攣ったように唇の端を持ち上げている。案の定、すぐに加奈子は爆発した。ベンチから勢い良く立ち上がり、彼女にしてはトコトン珍しくも俺を見下ろす格好で叫ぶ。

「だったら加奈子が初めてだって証明してやるよ!」
「は、はぁ?落ち着けって」
「その余裕がムカつくし。京介が信じねーなら、ぜってー信じさせてやる」
「だ、だから待て!こんな場所で何言っているのか分かってんのか!?」
「か、加奈子は気にしねー。ただ・・・」
「あん?」
「きょ、京介に信じてもらえねーのって、何かすげー悔しい」
「・・・わりぃ」

顔を俯かせて涙目になりながら、それでも涙をこぼさないコイツは、やっぱりスゲーって思う。自惚れじゃなければ、コイツは俺のことがマジで好きでこう言ってくれているんだからさ。男としては征服欲っていうのか?そーいうのを刺激されるのは間違いない。それに・・・こうまで彼女が言ってくれてるんだったら、応えてやるのが彼氏の務めなんじゃないか?少なくてもエロゲーだったら、今から確実にシーン回収だろうし。

「よしっ!!」
「ひっ!?」

俺が声をあげると加奈子がびくり、と震えた。いい加減、この場所に居たら目立ってきているし、店にだって迷惑だろう。俺は加奈子の手を半ば強引に掴むと、ぐい、と彼女の腕を引っ張りながら歩く。人ごみに紛れるように早足で歩きながら、俺は加奈子に答えを出す。

「だったら秋葉原見物はまた今度にしよう。それで、加奈子の処女は俺が貰ってやる。もう加奈子が嫌だって言っても聞かねーからな」
「な、何どや顔でしょ、処女だとか言ってんだ、このロリコンっ」

顔は引き攣って声は上擦るわ、毒舌ぶちまけられるわで何処からどう見ても加奈子は嫌がっているようにしか見えなかったが、けどな。アイツの右手は俺の掴んだ腕をしっかりと握り返してくれたから、きっと、これで良かったんじゃないだろうか。
俺は勝手にそう思ったね。





今回の後日談。というかオチ。
加奈子は全部初めてでした。

(続く)