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ゼロの使い魔 SS
『蒼の使い魔 第3話』


タバサが初めて彼と会うことが出来たのは、
彼が召喚されてから一週間ほど経った日のことだった。

当時、メイジではない平民が主人公である冒険譚、
『イーヴァルディの勇者』という御伽噺に夢中になっていたタバサは、
ソワソワと落ち着きない様子で王宮を歩いていた。

次期国王である伯父が先日召喚した少年は、
父が言うには未知の風俗を知る賢い平民の子で、
左腕に使い魔のルーンが刻まれているらしい。
物語と同じような話を聞き、どうしてだろうと考えるだけでワクワクと鼓動が高まった。
共通点を見つけようと何度も読んだ本を開いて似た記述を探す。
そんな作業も楽しかった。

物語のように、自分を王宮の退屈な日常から救い出してくれる王子様・・・。
そんな想いを未だ見ぬ少年に抱いていた。

その彼に今日、会うことが出来るという。

考えていたら、またウキウキとした気分になって、
自然と足の廻る速度が速くなった。
そのまま、彼が居る部屋の前まで到着してしまった。

執事のペルスランは、彼が平民だと言うことで面会には立ち会う、
と言っていたがまだ来ていないらしい。
きょろきょろと辺りを見渡しその姿がないことを確認する。
でも、もう待ってなど居られない。
何しろもう一週間も待っていたのだ。
彼女の膨らんだ好奇心は最早限界を突破していた。

しかし、堂々と部屋の中に入っていくには、
罪悪感があったのだろう。
彼女はノックもせず、中の人に気付かれぬようゆっくりとドアを開けて、
こっそりと部屋の中を覗き込んだ。


「きゃはははははっ!」

そこで目にしたのは楽しげに自分の下に這い蹲る少年にムチを振るう
自分の従姉妹姫の姿と、

「きゃいんきゃいんっ!」

首輪と動物の耳を付けて這い蹲る冴えない少年の姿だった。


彼女の空想の王子像ががらがらと音を立てて崩れ去ったのを感じた。
現実なんてこんなもんだと知った、
若かりし日の思い出であった。



ゼロの使い魔SS 蒼の使い魔 第3話



目が覚める。

自然、くすくすと笑みが洩れた。
普段の彼女しか知らぬものが今の姿を見れば、
誰もが仰天していたであろう。
年相応の可愛らしさに一目で恋に落ちることがあるかもしれない。
少なくとも、魅力を感じない人など居る由も無い。
そんな笑顔だった。

「懐かしい夢・・・」

そう呟く。
事実、彼は彼女の王子であった。
その日以来、彼女は退屈な王宮の日々から、
波乱に満ちた日々を過ごすことになったのだ。
それはひどく大変な事もあったが、
最後には笑いあえる大切な記憶であった。

懐かしい夢を見て機嫌の良い彼女であったが、
着替えを終え、
マントを羽織り、
杖を握り締めるといつものクールなタバサに戻っていた。

昨日教えた呼び出しの合図である口笛を吹く。
・・・これでシルフィードが窓の外に待機してくれているはずだ。

窓の外を見下ろすと確かに使い魔の姿が見えたので安心する。
どうやら無事に音を聞くことが出来たようだった。



「今日は飛行訓練をする」

シルフィードに飛び乗ったタバサは朝の挨拶を交わした後にそう言った。
授業に使い魔を使いこなすための時間は設けられていないため、
自主的に練習を繰り返さなければならない。
タバサはその時間を朝食前に取ることにしたのである。

「きゅいきゅい〜お腹減ったのね〜〜」

空中で誰の目も耳もないからと、
発言を許されたシルフィードは早速抗議をした。
使い魔にご飯を与えるのはメイジの至上の義務だからして
早急に自分にご飯を与えなければいけない、
とはシルフィードの持論である。

「朝ごはんの時間は決まっている」

だが彼女の主人はバッサリと切って捨ててくれた。

「きゅ、きゅい!?
ご飯〜お肉〜お魚〜食べないと力が出ないのね〜〜」

納得のいかないシルフィードはどう見てもワザと、フラフラと蛇行飛行を始めた。
タバサはそんな使い魔の我が侭を一顧だにすることなく、

「サイトに負けたままでいいの?」

と聞いた。
昨日、勝負の後シルフィードにサイトが使い魔だと教えると、
えらくライバル心を燃やしていたのを思い出したのだった。

「きゅ、きゅいっ!
それはイヤなのねっ!」

効果は抜群だ。
タバサは内心でほくそ笑みつつ、言葉を続ける。

「昨日の敗因は地面の上で勝負したこと。
風韻竜は飛行能力に優れているのだから、空中戦に持っていくのが常套手段。
その方が勝率も高い」

「その通りなのねっ!
さすがお姉さまなのね〜っ!」

やんややんやと褒めたてるシルフィードであるが、
タバサには実は昨日もこの考えはあった。
だが、初めての空中戦であり、
魔法を上手くコントロール出来るか分からない、
と言う不安要素があったため確実に出来る戦術を取ったのだ。
それは結果的に失敗であったが、
それでも昨日の戦術は戦術で場合によっては有りだと言うことも分かったので、
そう悲観したものでも無い。

「影を渡られても空中までは追って来れない。
剣士の限界」

あの戦い方でも脅威に感じたからこそ、
才人は1年以上も身内にさえ秘密にしていた剣の力まで行使したのだ。
だが、やはり竜、それも速度に優れた風竜乗りであれば、
戦闘は空中からのヒットアンドアウェイが基本だろう。

戦闘の基本は如何に相手の能力を封じ、
こちらに有利となる戦局を作れるかどうかである。
容易にその利点を作ることが出来る手段があるのなら、
積極的に活用すべきであろう。

相手が剣士であれば、剣が空を飛ぶことはないのだから、
空中戦を出来るようにしておくことが、
こと才人と戦うに当たって非常にメリットが大きいものになる。

もちろん、それは他のメイジや魔獣との戦闘でも利用価値は高い。
何よりも相手が空を飛べる場合、
こちらが空を飛べなければまともに相手など出来ないだろう。
才人と共に戦うならば、
彼が出来ないことをしなければいけない。
それが、
タバサが得意とする広範囲に効果を発揮する魔法であり、
これから練習する空中戦であるのだ。


「きゅいきゅいっ!
今度はあの男をこてんぱんにしてやるのねーっ!
お姉さまの魔法はとってもとってもすごいから、
シルフィと一緒なら空にも陸にも敵はいないのねーっ!!」

「そう」

手始めに、自分の力を彼に示す。
そのためにも、最後の所では本気になれない私相手の彼ぐらいであれば、
絶対に勝つことが出来ないとダメだろう。



「そろそろ始める」

高度を上げ、視界にある学院が豆粒のように小さくなった頃、
タバサは始まりの合図を出した。

シルフィードが縦横無尽に飛び回るたびに、
上空の冷え込んだ空気と、
駆け抜ける風がタバサの小柄な身体を振り回した。
風と水の使い手であるタバサは、寒さにも風にも慣れている。
とは言え、これほどの勢いで自身に威力が跳ね返るような魔法は存在しないから、
この環境は初めての試みだ。

なんとか魔法を唱えることは出来ても、
上手く精神力を乗せることが出来ないのではないか。
精々、ドットクラスの魔法が使えるぐらいだろうか?

吹きすさぶ風を受け、乾いた唇をぺろりと舐める。
考えていてもしょうがない。
兎に角やってみないことには始まらない。

「ラグーズ・イス・イーサ・・・」

ウィンディ・アイシクルの呪文を唱える。
使えることが確実なドットレベルの魔法など、唱えたところでほとんど意味はない。
そんなことをするぐらいであれば、
シルフィードに乗ったまま体当たりでもかます練習をした方がマシであろう。
あくまでも、戦いを有利に進めるための手段なのだ。
であれば、
・・・このぐらいのスペルを使いこなせなければいけない。

空中に数本の氷の矢が完成する。
そのまま前方に向けて打ち出すが、風の抵抗を受け軌道が捻じ曲がる!
氷の矢は互いにぶつかり合い、シルフィードが通り過ぎた後に粉雪を撒き散らした。


ぱらぱらと、微細な雪の結晶を撒き散らす光景を垣間見つつも、
本数も威力も大したことはなかったが、まったく出来ないわけでもない、
と言うことが分かった。
これならば、結構なレベルのスペルでも練習次第でどうとでもなるだろう。

「きゅいきゅい〜〜、寒いのね〜〜〜〜っ?」

「もう一回」

「お姉さま、人、もとい竜づかいが荒いのね・・・」

「終わったら、お肉一杯頼んであげる」

ぶつくさ言いつつも従順に従ってくれる使い魔に軽くねぎらいの言葉を掛けつつ、
練習は続いた。

飛行しながらさらに上方に魔法を投擲出来るか、
追われていると想定して後ろ向きにはどうか、
横にはどうか、
強風の影響を最小限に抑えるためにはどの角度で打ち出すべきか、
逆に魔法で気象にどのくらい影響を与えるものなのか、
他の魔法はどのくらい使えそうか、
風の影響を抑えるためにもう1つ風の系統を足してみたらどうか、
ブリザードのように周囲全体に影響を与えるような魔法はどうか・・・。



一通りの練習がやり終えると、タバサは軽く息を吐いた。
かなりの精神力を使ってしまったから、今日はそろそろ限界だろう。

シルフィードもそれを感じ取ったのか、
一応真剣な調子だった練習から一変、気軽な調子でタバサに話しかけてきた。

「お姉さま、お姉さま!
お姉さまのこととか、色々教えてほしいのねっ!」

シルフィはこの際、色々聞きたかったことをまとめて聞いてしまおうと考えたようだ。

「何?」

「お姉さまはガリアのお姫様なのに、
どうしてこんな外国の学院にいるのね?」

「交換留学」

一言で済ませられるほど単純な話だが、
シルフィードには何のことだが分からなかったらしい。
きゅい?と首を傾げ、言葉の先を促してきた。

「トリステイン王国のアンリエッタ王女をガリア王国のリュティス魔法学院に。
ガリア王国のシャルロット、
・・・私がトリステイン魔法学院に人質交換?」

「きゅ、きゅいっ!!?
こわいのねっ!
人質って怖いのね〜〜〜っ!!!」

「そうでもない。
私はトライアングルクラスだし、条件によってはスクウェアクラスのスペルも使える。
それに・・・
サイトがいる」

本当になんでもないようにタバサが答えた。
事実、サイトが居てくれれば取り分け心配することは何も無かった。
だが、その信頼に満ちた口調に彼女の使い魔は殊更気分を害したようだ。


「きゅ、きゅいっ!
そのサイトなのねっ!?
あの男、使い魔って何者なのねっ!!?」

「彼はガリア王ジョゼフの使い魔。
そして、私の護衛としてトリステインまで付いてきてくれている」

「そ、それなのねっ!
人間が使い魔ってありえないのねっ!
そんなのおかしすぎるのね〜〜っ!?」

「そうでもない。
始祖ブリミルの使い魔は人であった公算が高い。
4人の使い魔。
あらゆる武器を使いこなす神の左手、ガンダールヴ。
あらゆる幻獣を操る神の右手、ヴィンダールヴ。
あらゆる魔法具を扱う神の頭脳、ミョズニトニルン。
そして記すことさえ憚られる最後の一体。
・・・伝説の通りであれば、人でなければ出来ない描写も多い。
素直に受け取れば始祖の使い魔は人であったと見るのが妥当」

「きゅい。
でも使い魔が4人なのね?」

「それはどうしてなのかは分からない。
どの本にもその記述はなかった」

タバサは竜の背でふるふると首をふった。
事実として、メイジと使い魔は1対の存在であり、
不可侵であると言うのが現代の常識だ。
伝説の時代は複数契約が当たり前であったのか、
それとも・・・?

「・・・えさまっ!
お姉さまっ!!
どうしたのねっ!?」

「なんでもない」

シルフィードの声で我に返ったタバサは、
別に今気にすることでもないと思いなおした。
どの道、考えても答えなど出ないだろう。

「彼は今から7年ほど前、次王の選定の時にジョゼフに召喚された。
月が1つしかない異世界から召喚されたらしく、
この世界の常識なんてものは全く知らなかった。
だから、貴族に対して礼儀も弁えない子供だったけど、
逆にそんな所がジョゼフにとっては良かったらしい。
2人でよく喧嘩していたし、
・・・それでも仲は良さそうだった」

当時、タバサの父であるシャルルが王位を継ぐと言われていた。
シャルルと比べると凡庸であったジョゼフは即位してすぐに『無能王』と囁かれ、
こき下ろされる時代であった。
周囲からの重圧はすさまじいものがあっただろう。
・・・何しろジョゼフはそれまで魔法を使うことが出来なかったのだ。
貴族として、
王位継承者として、
それはひどい惨めな気持ちであったことだろう。
だが・・・

「召喚されたサイトとジョゼフは対等だった。
この世界自体、何も知らない平民の子と、
世俗について、何も知らない王家の子。
まるで世代を超えた親友のようだった、と父は言っていた。
今思うと、本音で話せる相手がジョゼフは欲しかったのかもしれない。
・・・弟である私の父でさえ、本音では話せなかったようだったから」

きゅい、とシルフィードが悲しげに声を鳴らした。
タバサはそんな自分の使い魔の背中を優しく撫でながら続ける。

「王とその使い魔は周囲の評価など一顧だにせず、
互いで本音でぶつかり合い、己を貫いていた。
だけど、状況は一変した。
サイトは、伝説の使い魔ガンダールヴであり、
ジョゼフは、伝説の虚無を系統とするメイジだった。
それからサイトは、
伝説の使い魔ガンダールヴとして国内外で異変が起こる度に派遣された。
でも主であるジョゼフはガリア王だから、そう軽々しく王都をあけるわけにもいかない」

そこで軽く息を吐く。
当時のタバサはまだサイト以上に子供で、
彼を手助けしてあげることなど出来なかった。
魔法の才能に優れているなどとは言われていても、
ことヒーリングについてはイザベラの方が上だった。
ぶつくさ言いながらも、
サイトの傷を治すことの出来るイザベラの魔法が羨ましくてしょうがなかった。

「年端もいかない子供であったサイトは、
たった1人で並みのメイジでは太刀打ちできない異変に立ち向かい続けた。
そして、2年ほど前にガリアの秘宝『土のルビー』がエルフに狙われた時、
サイトはそれを退けた。」

「きゅ、きゅいっ!?
え、エルフなのねっ!!?」

ブルブルッとシルフィードの身体に震えが走った。
同じ先住の魔法を使うとは言え、
エルフと、韻竜とは言え幼竜の自分では力の差が大きすぎるのだ。
名前を聞いただけで怖くなった。

「そう。
それまでにも『猛る火の山』を始め多くの幻獣を倒してきたサイトだったけど、
ハルキゲニアの全てのメイジにとっての天敵であるエルフを倒したことで、
周囲の見方は一変した。
謁見の間に常に詰めている国の重役たちは、それより以前から彼を認めていた。
だけど、その存在すらまともに知らなかった他のメイジ、
その家族、
それから平民にいたるまで彼の名前は知れ渡った。
でも彼は『北花壇騎士団長』という存在の無い騎士団の騎士団長、
とかいう称号しか貰えていない」

「ど、どうしてなのね?」

「彼が強すぎるから。
彼を止めることの出来る存在が居なければ地位を与えるのは危険という判断。
だから、私は強くならなければいけない。
彼の右腕になるぐらいに」

「きゅ、きゅい〜〜〜」

キリのいい所まで話し終えると、シルフィードは深くため息を吐いた。
まさか、そんな経歴があの唐変木な風体の青年にあるなど思いもしなかったのだ。



「もうそろそろ朝ごはんの時間。
最後にもう1回だけ練習して朝ごはんにする」

「きゅいきゅいっ。
待ってましたなのね〜」

ふと東の空をのぞくともう太陽が高い位置に昇っていた。
目を細めながらタバサがご飯の話題を振ると、
もうシルフィードの頭の中からサイトのことは消えていた。
良くも悪くも、シルフィードは正直者なのである。

「最後は下に急降下しながら、さらに真下に向けて魔法を使ってみる。
下に誰かいないか確認して」

「きゅいっ、分かったのね!
・・・んぅ?
お姉さまっ、サイトが居るのねっ!!」

シルフィードの言葉にタバサは軽くしかめ面をした。
まさか、この距離でこちらが見えているとは思えないが、
それでも万が一、事前にどんなことを練習しているかを理解されてしまっては、
せっかくの利を活かせない可能性がある。
となると、これ以上高度を下げると本当にバレてしまう可能性もある。
今日のところはこれで練習は止めておこ・・・

「きゅいきゅいっ!
人間の女の子の手を取ってるのね!!
逢引?
お姉さま、あれって逢引なのね!?」

・・・そう。

「急降下」

「きゅい?」

「いいから」

「きゅ、きゅい〜〜〜〜!?」

もう一度、降下を促すと、
何故か怯えた声をあげたシルフィードが真っ逆さまに落ち始めた。

ごうごうとすさまじい気流がタバサの身体を揺らすがあまり気にならない。
むしろ、今日一番の集中を以ってスペルを唱えることが出来る。
なるほど、魔法は感情だ。
タバサは納得しつつ、かすかに見えたその頭に向けて杖を振るった。

アイスストームの魔法により作られた氷の嵐が、
すさまじい速度で地上に降り注いだ!



「あ、あはは・・・な、なんでしょう、これぇ・・・?」

地上ではメイドが立っていた。
平均よりも胸の大きな黒髪のメイドは、
自分の周囲2メートルほどを除く視界が突如真っ白になってしまったことに動揺して、
もう理解を超えすぎてしまったので取りあえず笑った。

空から竜が降りてきたて、その影がメイドに掛かった。
ぎょっとして我を取り戻し、慌てて前方に立っていたはずの彼に視界を向けた。

「・・・埋まってる」

積もった雪からはみ出している片足が見えるだけだが、
この場にいる人間は彼とメイドの2人だけだったはずだ。

「た、大変!
早く助けないとっ!!」

ようやく動揺が収まってきたのか、メイドが慌てて彼に近づこうとして、

「ぴっ!?」

その身体が硬直した。
竜が彼の足を口で挟み、勢いよく引きずり出したのだ。

「あ、あはははは・・・」

再び笑って現実逃避をするメイドを、竜の背から飛び降りたメイジが見つめてきた。

メイドはどうして見られているんだろう、
何か粗相してしまったのかしら、
もしかしてあの竜の口で私、パクリなんて・・・
ともうパニックに陥り、ガタガタと震え始めた。

だが、そのメイジはメイドにもう興味を失ったのか、
彼の足を杖を持っていない方の手でおもむろに掴むと、
ずるずる、と引っ張っていった。

メイドは呆けた顔でそんな光景を見送っていた。

(続く)